「リターンを上げる」より「壊れにくくする」ための代替資産の役割と注意点
株式は長期的な資産形成の中核ですが、株式だけに依存したポートフォリオは脆弱です。
インフレ、金融引き締め、地政学リスクなど、株式が同時に下落しやすい局面は繰り返し訪れます。
そこで登場するのが、代替投資(Alternative Investment)という考え方です。
代替投資とは何か
代替投資とは、株式・債券以外の資産クラスを指します。代表例は以下の通りです。
- 不動産(REITを含む)
- コモディティ(金・原油などの実物資産)
- 暗号資産(ビットコイン等)
重要なのは、「リターンを高めるため」ではなく、「ポートフォリオの壊れ方を変えるため」に組み入れる点です。
① 不動産投資(REIT):インフレ耐性を持つインカム資産
不動産は、賃料収入という実体経済に紐づいたキャッシュフローを生む資産です。
株式よりも値動きが緩やかで、インフレ局面では賃料改定を通じて防御力を発揮しやすい特性があります。
REITの位置づけ
REIT(不動産投資信託)は、不動産を証券化した商品で、
「不動産 × 株式市場」というハイブリッドな性格を持ちます。
- 高い分配金利回り(インカム重視)
- 金利上昇局面では価格が下落しやすい
- 株式と完全には独立しない
📌 不動産は「守りの万能資産」ではなく、
インフレ耐性を持つ収益資産として位置づけるのが現実的です。
② コモディティ:金融システムの外側にある実物資産
コモディティは、金・原油などの実物そのものに価値がある資産です。
企業収益や金利政策と直接結びつかないため、金融不安時に異なる動きをすることがあります。
金の役割
- 利息を生まないが、信用リスクがない
- 通貨価値の希薄化に対するヘッジ
- 有事・金融不安時の逃避先
原油・エネルギー資源
- 需給・地政学の影響を強く受ける
- インフレ耐性は高いがボラティリティも大きい
- 長期保有より局面対応型
⚠️ コモディティは「配当を生まない」ため、
保有理由をインフレ・リスクヘッジに限定することが重要です。
③ 暗号資産:投資か、投機か
暗号資産は、最も評価が分かれる代替資産です。
株式・債券・不動産とは異なり、キャッシュフローを生まない純粋な価格資産です。
ビットコインの本質
- 発行上限が決まった希少資産
- 国家・中央銀行の外側に存在
- 「デジタルゴールド」としての位置づけ
イーサリアムとの違い
ビットコインが「価値保存」に特化しているのに対し、
イーサリアムはアプリケーション基盤(OS)としての性格が強い資産です。
📌 暗号資産は「将来性があるか」よりも、
ポートフォリオ全体に与える影響が大きすぎないかが判断基準になります。
代替投資の適正な配分とは
| 資産 | 目安配分 | 役割 |
|---|---|---|
| 不動産(REIT) | 5〜10% | インカム+インフレ耐性 |
| 金 | 5〜10% | 金融不安ヘッジ |
| 暗号資産 | 0〜5% | オプション的成長枠 |
まとめ:代替投資は「主役」ではない
- 代替投資は株式の代替ではなく補完
- 期待リターンより「壊れにくさ」を重視
- 少量・明確な役割・定期的な見直しが必須
分散投資とは、未来を当てにいく行為ではありません。
予想が外れても致命傷を負わない構造を作る技術です。
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