財務健全性のチェックポイント
倒産リスクを見抜く「自己資本比率」と「流動比率」
株式投資では「成長性」や「配当利回り」に目を奪われがちですが、企業を長期保有するためには財務の強さを見極めることが欠かせません。
いくら業績が魅力的でも、財務基盤が脆弱な企業は、不況や環境変化によって一気にリスクが高まります。
稼ぐ力(CF)を確認したら、次に見るべきは「倒れにくさ」です。その健全性を測るのが、自己資本比率と流動比率です。
自己資本比率とは?(長期的な安定性)
自己資本比率は、総資産に占める自己資本(返済不要の資金)の割合を示します。
計算式
自己資本比率の目安
- ●40%以上:財務的に健全で、借金に依存しない安定経営
- ●20〜40%:一般的な水準(業種による)
- ●20%未満:借金依存度が高く、不況に弱い
自己資本比率が高い企業ほど、不況時でも増資や借入に頼らず、事業を継続しやすい体質だと判断できます。
※ 銀行・不動産など、業種特性によって目安は異なる点に注意しましょう。
流動比率とは?(短期的な支払い余力)
流動比率は、1年以内に現金化できる資産が、1年以内に返済すべき負債をどれだけ上回っているかを示す指標です。
計算式
流動比率の目安
- ●200%以上:短期的な支払い能力に非常に余裕あり
- ●100%以上:健全な状態。支払い能力に問題なし
- ●100%未満:資金繰りに注意が必要
ただし、在庫が過剰に積み上がっていたり、売掛金の回収が滞っている場合、数値が高くても安心はできません。
流動比率の推移から見える注意点
出典:各社 有価証券報告書(自2024年4月1日 至2025年3月31日)
グラフを見ると、日産自動車の方がトヨタ自動車よりも 流動比率が高いことが分かります。 一見すると日産の方が財務が健全に見えますが、 必ずしもそうとは限りません。
**流動比率の数値だけで財務の良し悪しは判断できない**という点に注意が必要です。
流動比率が高くても、それが「現金や有価証券」ではなく、売れ残った在庫や回収が滞っている売掛金によって支えられている場合は、実質的な支払い能力は低い可能性があります。
👉 流動比率は、資産の中身やキャッシュフローと必ずセットで確認することが重要です。
財務指標の注意点と活用方法
- 1 過去推移をチェック 年々改善していれば、財務体質が強化されていると判断できます。
- 2 同業他社と比較する 業界平均と比べて極端に低い場合は要注意です。
- 3 キャッシュフローと併用する 利益が出ていても、現金が不足していないかを必ず確認しましょう。
まとめ:長期投資家の必須チェックポイント
- ・ 自己資本比率:長期的な安定性を示す
- ・ 流動比率:短期的な支払い余力を示す
- ・ 成長性・収益性と同じくらい、倒産リスクを確認する
「成長しているか」だけでなく、「倒れにくい企業か」を見極めることが、長期投資では欠かせません。
これらの指標を理解し、企業の健康診断を自分の目で行える投資家を目指しましょう。
初心者向け投資講座|ステップ5
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その判断軸となるのが、 PER・PBR・ROEといった 代表的な株価指標です。
※ 数字の暗記ではなく、
「なぜそう評価されるのか」という考え方を整理します
