PERやPBRだけでは見抜けない「本当に稼げる企業」を探す指標
株式投資ではPERやPBRといったバリュエーション指標がよく使われますが、 これらはあくまで「会計上の利益」や「帳簿上の資産」を基準にした評価です。
そこで注目したいのが、FCF利回り(フリーキャッシュフローヨールド)。 株価(時価総額)に対して、企業がどれだけ自由に使える現金を生み出しているかを測る指標です。
会計利益では見えにくい「企業の余剰キャッシュ創出力」を、直感的に把握できるのが最大の特徴です。
📐 FCF利回りの定義と計算式
🧮 計算式
FCF利回り = フリーキャッシュフロー(FCF) ÷ 時価総額 × 100
- フリーキャッシュフロー(FCF):営業CF − 投資CF
- 時価総額:株価 × 発行済株式数
具体例で理解する
- 営業CF:2,000億円
- 投資CF:▲800億円
- FCF:+1,200億円
- 時価総額:2兆円(20,000億円)
👉 FCF利回り = 1,200 ÷ 20,000 × 100 = 6%
これは「現在の株価水準に対して、年6%相当の余剰キャッシュを生み出す力がある」 と読み解けます。
📊 FCF利回りの目安と評価
| FCF利回り | 意味 | 投資家の視点 |
|---|---|---|
| 7〜10%以上 | 株価に対して高いキャッシュ創出力 | 割安評価・株主還元余力に期待 |
| 3〜6% | 株価水準と稼ぐ力が概ね一致 | 無難・平均的な評価 |
| 1〜2% | キャッシュ創出力に対して株価が高い | 割高の可能性を警戒 |
※ 数値の目安は業界特性や成長段階によって大きく異なります。 必ず同業他社や過去推移と比較しましょう。
🔍 FCF利回りの活用シーン
- 株主還元力の評価:自社株買い・増配の原資を確認できる
- PER・PBRの補完:利益や純資産では見えない現金力を把握
- セクター内比較:同業他社との相対的な割安度判断
- 成熟企業の評価:成長が鈍化してもキャッシュを稼げているか
⚠️ 注意点と落とし穴
- 一時的な投資の影響:大型設備投資でFCFが一時的に悪化する場合がある
- 成長企業では低く出やすい:先行投資期はFCF利回り単独判断が危険
- 資産売却・為替要因:一過性のFCF増加に注意
- 単年評価はNG:必ず複数年トレンドで確認する
🔁 FCF利回り vs 配当利回り
| 指標 | 計算式 | 見るポイント |
|---|---|---|
| FCF利回り | FCF ÷ 時価総額 | 企業のキャッシュ創出力 |
| 配当利回り | 配当 ÷ 株価 | 実際の現金還元 |
- 高FCF利回り × 高配当:還元余力が高い理想的な状態
- 高FCF利回り × 低配当:自社株買いや成長投資余地あり
- 低FCF利回り × 高配当:配当の持続性に注意
✅ まとめ:FCF利回りの正しい使い方
- FCF利回りは「株価に対するキャッシュ創出力」を測る指標
- PER・PBRでは見えない企業の体力が分かる
- 単独ではなく、成長性・業界特性・推移と併用する
- 配当利回りと組み合わせると還元の質まで見える
投資判断に迷ったときは、
「この企業は、今の株価に対してどれくらい現金を生み出しているか?」
という視点でFCF利回りを確認してみましょう。
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