資源国 vs 内需国|人口ボーナスをどう“使うか”で分かれる成長の質

雇用を生まない成長と、消費に変換される成長の構造的な違い

本記事は、「新興国投資の見極め方|6つのチェックポイント」における
【④ 成長の質】を、「資源国」と「内需国」という構造の違いから整理する章です。

人口ボーナスは、それ自体が成長を約束する魔法ではありません。
本当に重要なのは、増えた労働力と所得を、どこに向けて使っているかです。

新興国を見ていくと、人口ボーナス期に入った後の進路は、大きく二つに分かれます。

① 資源国: 資源輸出に成長を依存する
② 内需国: 雇用と消費を軸に国内市場を育てる

どちらが「正解」という話ではありません。
しかし、人口ボーナスとの相性という観点では、明確な差が生まれやすい構造です。

1. 資源国:人口が増えても雇用が増えにくい構造

資源国とは、石油・天然ガス・鉱物などの一次資源輸出が経済の中心となっている国です。

資源産業の特徴は明確です。

  • 資本集約型(雇用をあまり生まない)
  • 価格変動が激しく、景気が不安定
  • 輸出収入が政府・一部企業に集中しやすい

その結果、人口ボーナス期に入っても、 若年層の雇用が十分に吸収されないという問題が起きやすくなります。

構造的な結果
  • 若年失業率が高止まりしやすい
  • 所得が広く分配されにくい
  • 社会不安・政治不安につながりやすい

ナイジェリアなどでは、若年失業率が長期的に30%を超える水準で推移してきました。
人口は増えているのに、経済成長が「雇用」や「消費」に結びつかない典型例です。

資源そのものが問題なのではありません。
人口ボーナスを活かす“受け皿”が、資源産業だけでは足りないという構造が問題なのです。

2. 内需国:人口ボーナスが消費と成長に変換される構造

内需国は、人口増加と都市化を背景に、 雇用 → 所得 → 消費の循環を国内で作ろうとする国です。

製造業・サービス業を中心に、労働集約的な産業が広がりやすい点が特徴です。

内需国の特徴
  • 雇用吸収力が高い
  • 所得分配が比較的広い
  • 個人消費が成長のエンジンになる

中国、インドネシア、フィリピンなどでは、 都市化と中間層拡大が進み、 小売・住宅・サービス消費が経済成長を支えてきました。

内需主導型の強みは、 外部環境が悪化しても成長が急停止しにくい点にあります。

3. 人口ボーナスとの相性で見る決定的な違い

人口ボーナスは、「働く人が増える」現象です。

重要なのは、その人たちがどこで働き、何を生み、誰が消費するのかです。

視点 資源国 内需国
雇用吸収 低い 高い
所得分配 偏りやすい 広がりやすい
成長の持続性 資源価格次第 比較的安定

ここで言っているのは「優劣」ではありません。
人口ボーナスという条件と、どの構造が噛み合いやすいかという話です。

補足:ハイブリッド型の国について

現実には、資源輸出と内需・産業成長を併せ持つ 「ハイブリッド型」の国も存在します。

ただし、これらの国が持続的に成長できるかどうかは、 資源の有無ではなく、 制度・財政運営・金融政策・ガバナンスに大きく左右されます。
この点は、後続章で改めて整理します。

まとめ|人口はエネルギー、成長は使い道で決まる

人口ボーナスは「成長の可能性」であって、 成長そのものではありません。

その可能性を、 資源輸出に閉じ込めるのか、
雇用と消費に変換できるのか。

新興国投資では、「人口が増えているか」よりも
「人口をどこで使っているか」を見る必要があります。

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