第3章:景気の現場を見る【一致指標】

企業心理の次に確認すべき、現場の数字と投資行動

第2章では、フィリー連銀指数を使って 「企業がどう感じ始めているか」を見てきました。

ここからは視点を一段下げます。
この章で確認するのは、 景気が“いま実際にどう動いているか”=現在地です。

整理:
フィリー連銀指数が「気配」なら、
第3章はその答え合わせにあたります。

1. ISM製造業景況指数(ISM Manufacturing PMI)

米国の景気指標の中で、 「今、製造業は拡大しているのか?縮小しているのか?」 を一発で確認できる代表格が、 ISM製造業PMIです。

PMIは毎月発表され、株式市場でも “現場の体温計”として材料視されやすい指標です。

役割:景気の「現在地」

ISMの読み方は、とてもシンプルです。

50より上
拡大(Expansion)
50より下
縮小(Contraction)

重要なのは、 「景気が良い/悪い」ではないという点です。

PMIが示しているのは、 前月と比べて、現場が拡大しているか・縮小しているか という変化の direction(方向)です。

なぜ「答え合わせ」になるのか

フィリー連銀指数は、地域限定ながら 企業心理の変化をかなり早く映します。

一方、ISM製造業PMIは、 全米の製造業を対象にした全国版の調査です。

フィリーが悪化(気配)

ISMが50割れ(現実の縮小)

雇用・消費への警戒

投資の実務では、 この流れが確認できるかを見にいきます。

初心者がやりがちなミス:
PMIが「50を超えた/割れた」だけで、 相場の方向が確定したと考えてしまうこと。

相場は先に動くことも多いため、
フィリー(先行)→ ISM(一致)→ 雇用(遅行)
の順で確認する方が、判断ミスは減ります。

2. 耐久財受注――企業の「本気度」を見る指標

次に確認したいのが、 耐久財受注(Durable Goods Orders)です。

これは、 企業が将来に向けて、どれだけ設備やモノを発注しているか を通じて、投資意欲を測る指標です。

役割:企業の将来投資(設備投資)

投資家目線では、因果関係はこれだけ押さえれば十分です。

  • 受注が増える
    →「売れそう」「投資しても回収できる」と企業が判断しやすい
  • 受注が減る
    → 設備投資にブレーキがかかり、景気減速のサインになりやすい

耐久財受注は、 「いま」だけでなく「これから」にも効く指標です。

ブレやすい指標との付き合い方

耐久財は大型案件が多く、 月次のブレが非常に出やすいという特徴があります。

初心者の段階では、次の2点に絞ると十分です。

  1. 方向性:増えているか、減っているか
  2. 流れ:それが2〜3回続いているか

細かい内訳(輸送用機器除く、コア資本財など)は、
次章で扱う「ズレる」「止まる」局面で深掘りすると、 全体の流れがきれいにつながります。

章末まとめ

この章で持ち帰る結論はシンプルです。

  • ISM製造業PMI:景気の現在地(50を境に拡大・縮小)
  • 耐久財受注:企業の未来への自信(投資の勢い)

そして、

フィリー連銀(気配)
→ ISM(答え合わせ)
→ 耐久財(将来投資)

この順番で並べると、
バラバラな経済ニュースが 一本のストーリーとして読めるようになります。

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