「いつか暴落する」は本当か──割高でも崩れない相場を支える3つの力
流動性・実質金利・投資家心理から読み解く現代相場の正体
「PERが高すぎる」「もう割高だ」「いつ暴落してもおかしくない」 ──そう言われながらも、株式市場は何年も上昇を続けてきました。
なぜ、割高と分かっていても株は上がり続けるのか?
本記事ではその理由を、流動性・実質金利・投資家心理という3つの視点から整理します。
1. 「割高=下がる」は常に正しいわけではない
多くの投資家は、PERやPBRが高い状態を「危険」と感じます。 確かに長期的にはバリュエーションは回帰しますが、短中期では別の力が市場を動かします。
それが、
- お金が余っているか(流動性)
- 金利が実質的に高いか低いか(実質金利)
- 投資家が何を恐れ、何を信じているか(心理)
現代相場では、この3つがバリュエーションよりも強く働く局面が増えています。
2. 流動性:株価を押し上げる最大の燃料
株式市場は「企業価値」だけで動いているわけではありません。 市場にどれだけお金が余っているかが、価格水準を大きく左右します。
流動性が潤沢な局面で起きること
- 現金の置き場がなくなる
- 債券の利回りが魅力を失う
- 相対的に株式が「一番マシな資産」になる
結果として、
「割高でも買われる」相場が生まれます。
QE(量的緩和)、財政出動、M2の増加、中央銀行のバランスシート拡大── これらはすべて、株価を下支えする構造的要因です。
3. 実質金利:割高さを正当化する最大の論拠
株価バリュエーションを考えるうえで、最も重要なのが実質金利です。
実質金利が低い(あるいはマイナス)環境では、
- 将来利益の現在価値が大きくなる
- PERの「許容水準」が上がる
- 長期成長株が評価されやすくなる
つまり、
「金利が低い限り、割高に見えても理論的に説明できる」のです。
現代相場で頻繁に聞かれる、
- 「今回は違う」
- 「構造が変わった」
という言葉の多くは、実質金利の低下によって裏付けられています。
4. 投資家心理:不安と期待が相場を持ち上げる
意外に思われるかもしれませんが、 相場は楽観だけでなく「不安」によっても上がります。
現代相場を支える心理構造
- 現金でいることへの不安(インフレ・機会損失)
- 下落を待って乗り遅れる恐怖(FOMO)
- 中央銀行が守ってくれるという信認
結果として、
「高いと分かっていても、下がらない限り売れない」
この状態では、下落が起きても「押し目買い」が優勢となり、 相場はなかなか崩れません。
5. なぜそれでも「いつかは終わる」のか
割高な相場が永遠に続くわけではありません。
転換点は、ほぼ例外なく次のどれかです。
- 流動性が明確に縮小する
- 実質金利がプラス圏で定着する
- 中央銀行の信認が揺らぐ
重要なのは、
「割高だから下がる」のではなく、
「環境が変わったから下がる」
という点です。
6. 投資家はどう向き合うべきか
やるべきこと
- バリュエーションだけで全否定しない
- 流動性と実質金利を定点観測する
- 下落時に慌てない余力を残す
やってはいけないこと
- 「もうすぐ暴落するはず」で全てを降りる
- 過去の平均値だけで現在を裁く
- 短期的な価格変動に振り回される
まとめ:割高相場の正体
- 株価は「価値」だけでなく「お金の量」で決まる
- 実質金利が低い限り、高PERは理論的に成立する
- 投資家心理は、上昇相場を想像以上に長引かせる
現代相場を理解する鍵は、
「割高かどうか」ではなく、
「なぜ割高でも成立しているのか」を考えること
この視点を持つことで、相場に対する過度な恐怖や期待から一歩距離を置き、 より冷静な投資判断ができるようになるはずです。
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なぜ「割高でも上がり続ける相場」が生まれたのか。
