数字を「見る」から「使う」へ ― 投資判断へつなげる企業分析の思考プロセス ―
企業分析は、数字を覚えることが目的ではありません。最終的なゴールは「投資する/しない」を自分で納得して決めることです。
この章では、以下の思考プロセスを整理します。
- 決算書をどう確認し
- 指標をどう整理し
- どんな仮説を立て
- 最終的にどう投資判断へつなげるのか
全体像:投資判断までの4ステップ
ステップ① 決算・事業内容の確認
何をして稼いでいる会社かを理解する
ステップ② 重要指標の整理
最低限必要な数字の推移を確認する
ステップ③ 仮説を立てる
「なぜこの企業に投資したいのか」を言語化する
ステップ④ 投資判断を下す
「良い企業」=「今買うべき企業」ではない
重要なのは、
- 「順番を守ること」
- 「すべてを完璧にやろうとしないこと」
ステップ① 決算・事業内容の確認
まずは「何をして稼いでいる会社か」を理解することが最優先です。数字を見る前に事業を理解しましょう。
確認するポイント
- 主力事業は何か
- どこで収益を上げているか
- ビジネスモデルはシンプルか
- 業界内での立ち位置
決算書の細かい数値よりも、「この会社は何屋なのか」を言葉で説明できるかが重要です。
・ 説明できない企業は、この時点で無理に分析を続ける必要はありません。
ステップ② 重要指標の整理
すべての数字を見る必要はありません。企業によって異なりますが、最低限チェックしたい指標を絞り込みます。
最低限チェックしたい指標
- 売上高・売上成長率
- 営業利益・営業利益率
- EPS(1株利益)
- ROE(自己資本利益率)
- フリーキャッシュフロー
ここで重要なのは、数字の「大小」ではなく過去からの「推移」です。
・ 一期だけ良い数字より、数年かけて安定しているかを見ます。
ステップ③ 仮説を立てる
数字を確認したら、必ず仮説を言葉にします。「なぜこの企業に投資したいのか」を言語化しましょう。
仮説の例
- この企業は〇〇市場でシェアを拡大している
- 高い利益率は〇〇という強みによるもの
- 今後△△の成長が追い風になる
大切なのは、「数字 → ストーリー」へ変換すること。投資は過去の結果ではなく未来に対して行われます。
・ 「この企業は今後どうなりそうか」「その前提は何か」を整理します。
ステップ④ 投資判断を下す
「良い企業」=「今買うべき企業」ではありません。最後に、価格とリスクを考慮して判断を行います。
選択肢と判断基準
- 投資する
- 見送る(ウォッチリスト入り)
- 投資しない
【判断基準の例】
- 想定成長がすでに株価に織り込まれていないか
- 自分のポートフォリオと合っているか
- 想定リスクを許容できるか
・ 「分からない」は立派な判断です。無理に結論を出す必要はありません。
よくある間違い:企業分析が失敗するパターン
初心者が陥りやすい例
- 指標だけで機械的に判断する
- 過去の成長をそのまま未来に当てはめる
- 株価が下がっている理由を考えない
- 「良い企業だから上がる」と思い込む
企業分析は確率を上げる行為であって、未来を当てる魔法ではありません。
まとめ:「判断の質」を高めるためのもの
企業分析の本質は、自分がなぜその投資をするのかを説明できるようにすることです。
- ✔️数字を眺めるだけで終わらせない
- ✔️ストーリーと結びつける
- ✔️最後は自分の判断として決断する
これができるようになると、相場の上下に振り回されにくくなります。
初心者向け投資講座|ステップ6
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企業分析の流れが整理できたら、 次は「実際の企業でどう使うか」を確認しましょう。
理論を理解していても、 実例がないと判断は身につきません。
次の記事では、 実在する上場企業を題材に、 決算書・指標・仮説・投資判断までの流れを 一つずつ具体的に見ていきます。
※ 「数字の読み方」だけでなく、 「なぜそう判断したのか」まで言語化します
