「価格が安定している=安全」という思考停止が生むリスク
投資の世界では、「安全資産」という言葉が当たり前のように使われます。
現金、国債、預金――これらは一般に「安全」とされる資産です。
ですが本当に、それらは無条件に「安全」なのでしょうか。
「安全資産」とは何を意味しているのか
まず整理しておきたいのは、安全資産という言葉が示しているのは、
- 価格が安定している
- 短期で大きく下落しにくい
- 換金性が高い
といった性質であって、将来にわたって価値が守られるという保証ではありません。
価格が安定している=安全ではない
多くの人は、「価格が動かない」「下がらない」という点だけを見て、安全だと判断してしまいます。
しかし、価格が安定していることと、価値が維持されることは別物です。
特に長期では、価格が動かない資産ほど、リスクが見えにくくなります。
安全資産にも存在するリスク
安全資産とされるものにも、次のようなリスクがあります。
- インフレによる実質価値の低下
- 金利上昇による債券価格の下落
- 通貨価値そのものの変化
- 制度・財政への信認低下
これらは短期的な値動きとしては、ほとんど表面化しません。
だからこそ、「安全」に見えてしまいます。
安全資産は「前提」が崩れると弱い
安全資産が安全でいられるのは、
- 物価が安定している
- 通貨の信用が維持されている
- 制度が機能している
という前提があるからです。
これらの前提が揺らいだとき、安全資産は一気に脆くなります。
「安全」と呼ばれていた理由そのものが、消えてしまうからです。
なぜ「安全資産」という言葉が危ういのか
この言葉が危うい理由は、
- 考えなくてよくなる
- 前提を疑わなくなる
- 比率管理を怠りやすくなる
点にあります。
安全だと思っている資産ほど、「どんなリスクを取っているか」を見落としがちです。
結果として、気づかないうちに大きな前提に賭けていることになります。
安全かどうかは資産単体では決まらない
本来、安全かどうかは資産単体で決まるものではありません。
重要なのは、
- どの環境を想定しているか
- どの資産と組み合わさっているか
- 全体の中でどんな役割か
です。
同じ現金や債券でも、ポートフォリオの中での位置づけによって、安全にもリスクにもなります。
私が「安全資産」という言葉を使わない理由
私自身は、資産を「安全・危険」で分けるよりも、
- どのリスクを引き受けているか
- どの前提に依存しているか
- 他の資産とどう補完し合うか
という視点で整理しています。
安全資産という言葉は、考えることを止めてしまう。
だからこそ、あえて使わないようにしています。
「安全資産」という言葉は便利ですが、万能ではありません。
大切なのは、何が起きたら安全でなくなるのかを想定することです。
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