「割合」ではなく「役割」と「耐えられる設計」から考える
投資の基本として、「安全資産とリスク資産を組み合わせましょう」という言葉をよく目にします。
ですが実際には、どう組み合わせるのかについて具体的に語られることは多くありません。
割合の話の前に、まず役割を整理する必要があります。
安全資産とリスク資産は対立概念ではない
安全資産とリスク資産は、しばしば「守り」と「攻め」のように対立するものとして語られます。しかし実際には、両者は役割が違うだけです。
どちらかが正しく、どちらかが間違っているわけではありません。重要なのは、同時に存在させる理由です。
安全資産の役割
安全資産の主な役割は、次の3つに集約できます。
- 資産全体の変動を抑える
- 急変時のクッションになる
- 時間を味方につける余裕を作る
リターンを生むためというより、耐えるための資産と考えたほうが近いかもしれません。安全資産があることで、リスク資産を保有し続ける余地が生まれます。
リスク資産の役割
一方で、リスク資産の役割は明確です。
- インフレを上回る成長を狙う
- 経済成長の果実を取り込む
- 長期で資産を増やす
価格変動は大きいですが、その変動こそがリターンの源泉です。安全資産だけでは、長期的な購買力を守れない可能性があります。
組み合わせの本質は「割合」ではない
多くの解説では、「安全資産〇%、リスク資産〇%」といった割合が強調されます。しかし、本質は割合そのものではありません。
重要なのは、次の点です。
- どんな局面を想定しているか
- どこまでの下落に耐えられるか
- 途中で手放さずに済むか
つまり、問われているのは耐久力です。
安全資産が少なすぎると起きること
- 下落時に精神的に耐えられない
- 最悪のタイミングで売却してしまう
- 想定より早く資金が必要になる
これらは理論の問題ではなく、行動の問題です。
安全資産が多すぎると起きること
- インフレに負けやすくなる
- 資産が増えない期間が長くなる
- 機会損失が積み上がる
「減らない」ことと「守れている」ことは同義ではありません。
組み合わせの軸は「続けられるかどうか」
最終的に、安全資産とリスク資産の組み合わせで最も重要なのは、
その配分を続けられるかどうかです。
耐えられる変動幅、生活への影響、心理的な余裕。これらを含めて、「自分にとっての最適解」が決まります。
私の考える組み合わせ方
- 安全資産は「守るため」に持つ
- リスク資産は「増やすため」に持つ
- どちらか一方に期待しすぎない
安全資産があるからリスク資産を長く持てる。リスク資産があるから安全資産の価値が活きる。この関係性を崩さないことを最優先しています。
安全資産とリスク資産は、優劣ではなく役割分担です。
組み合わせの正解は一つではありませんが、「なぜそうしているか」を説明できることが最も重要だと考えています。
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安全資産という言葉の落とし穴
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