銘柄を増やしてもリスクは減らない理由
― 銘柄数ではなく「前提」を分ける設計思想 ―
本記事では、投資の基本として語られることの多い「分散投資」について、銘柄数の多さではなく、何に分散しているのかという視点から整理します。
分散投資の目的は、
リターンを最大化することではなく、前提が崩れたときに致命傷を避けることです。
分散投資=銘柄を増やすことではない
分散投資という言葉は広く使われていますが、「銘柄を増やすこと」だと理解されがちです。
しかし、同じ値動きをする資産をいくら増やしても、本質的な分散にはなりません。
重要なのは、異なる要因で動く資産を組み合わせているかという点です。
分散すべきは「価格」ではなく「前提」
分散投資で本当に分けるべきなのは、価格変動そのものではなく、その資産が成立している前提です。
例えば、
- 金利が低下・安定することを前提にした資産
- 経済成長が続くことを前提にした資産
- 通貨の信用が維持されることを前提にした資産
これらの前提は、同時に崩れることもあれば、一方だけが崩れることもあります。
前提が異なる資産を組み合わせることで、ポートフォリオ全体の耐久性が高まります。
分散を考える4つの視点
私が分散を設計する際に意識しているのは、次の4つの視点です。
(国・経済圏)
これらが過度に重なっていないかを確認することで、「分散しているつもり」の状態を避けています。
地域と通貨の分散
一国・一通貨に資産が集中すると、為替変動や政策変更の影響を直接受けます。
特に長期運用では、どの国・通貨が最も有利になるかを正確に予測し続けることは困難です。
複数の地域・通貨に分けて保有することで、「当てに行かない構造」を作ることができます。
制度・政治リスクの分散
税制変更、規制強化、資本規制、地政学リスク。これらは、個別企業の努力では避けられない要素です。
制度や政治体制が異なる国・地域に分散することで、一つの制度変更がポートフォリオ全体に及ぶリスクを抑えることができます。
成長段階の分散
成熟市場と成長市場では、リターンの出方も、リスクが顕在化するタイミングも異なります。
先進国だけ、新興国だけに偏ると、市場環境の変化に対して脆くなります。
異なる成長段階を組み合わせることで、ポートフォリオの時間軸を分散させることができます。
分散しすぎないという判断
分散は万能ではありません。
管理できないほど資産を増やすと、
- 何を保有しているのか把握できない
- なぜ保有しているのか説明できない
- 環境変化に対して判断が遅れる
分散とは、リスクを理解したうえで、意図的に分けることだと考えています。
ここまで整理した分散の考え方は、私のポートフォリオ設計の前提になっています。
▶ 実際にどのように分散を組み込んでいるかはこちら
ポートフォリオ運用の考え方と資産配分の整理
▶ コア・サテライト戦略の全体像はこちら
コア・サテライト戦略とは何か
