通貨とは何か?──「信頼」の仕組みから始めよう

「1万円札」はなぜ価値があるのか?──“信用”で読み解くお金と通貨の正体

通貨の信用と価値保存の構造|第1話

💡 はじめに:その「紙切れ」を、なぜ私たちは信じているのか

あなたの財布に入っている1万円札。
それは本当に「1万円の価値」を持っているのでしょうか?

冷静に見れば、ただの紙切れです。原価は数十円とも言われます。
それでも私たちは、その紙切れで食事をし、サービスを受け、税金を支払います。

その理由はひとつしかありません。

「この紙切れには価値がある」と、社会全体が信じているから

本記事では、この当たり前すぎて疑われることのない「お金の正体」を、
通貨=信用の構造という視点から整理します。

これは、単なるお金の解説ではありません。
なぜインフレが起き、なぜ金や暗号資産が注目されるのか──
その“すべての起点”になる話です。

Ⅰ. 通貨が果たす「3つの役割」

通貨には、経済を成立させるための基本機能があります。

  • 価値の尺度:価値を共通単位で測る
  • 交換の手段:モノやサービスと交換できる
  • 価値の保存:将来に持ち越せる

重要なのは、これらすべてが「信用」を前提としている点です。

誰も信じていないものは、尺度にも、交換手段にも、保存手段にもなりません。

Ⅱ. お金の正体は「信用の記録」

日本銀行券(お札)は、会計上、日本銀行の「負債」です。

つまりお金とは、中央銀行が発行した巨大な借用書に他なりません。

かつて金と交換できた紙幣は、今や金と交換できません。
それでも価値を持つのは、

「国家と中央銀行が、この価値を維持する」と人々が信じているから

通貨とは、モノではなく、
信用を数値化し、流通させる仕組みなのです。

Ⅲ. 中央銀行はどうやって信用を作るのか

中央銀行は、お金を「生産」しているのではありません。
負債を発行することで、信用を作っています。

国債を買い取り、当座預金を増やす。
それがそのまま「新しい通貨」として世の中に現れます。

この仕組み自体は合理的ですが、
無制限に使える力でもあります。

Ⅳ. 「信用」が静かに削られるとき

通貨の信用は、ある日突然崩壊するとは限りません。

多くの場合、インフレや低金利という形で、静かに削られます。

物価が上がり、預金金利が上がらない。
これは「通貨の価値が保存できていない」状態です。

ここで初めて、人々は問い始めます。

「この通貨だけを信じ続けて大丈夫なのか?」

Ⅴ. 次に現れた「別の信用の形」

この問いに対するひとつの答えとして登場したのが、暗号資産です。

  • 法定通貨:国家を信用する
  • 暗号資産:仕組みを信用する

これは単なる投資対象の話ではありません。
「信用はどこに置かれるべきか」という思想の転換です。

なぜ2008年に、それが必要とされたのか。
次回は、金融危機とビットコイン誕生の背景を追います。

📌 本記事の要点

  • 通貨とは「信用の記録」である
  • 中央銀行は信用を負債として発行する
  • 信用はインフレや低金利で静かに削られる
  • 暗号資産は「別の信用構造」の提案である

通貨を理解することは、
どの資産が「価値を保存できるのか」を考える出発点です。

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