【企業図鑑】SHOEI CO., LTD.
世界のアスリートが選ぶ、プレミアム・ブランド。
「安全」と「快適」を追求し続ける、Made in Japanのものづくり
この企業に注目する理由
── 逆風下で見せる「ブランド力」と、新たな領域への挑戦
世界的なインフレやコロナ禍の反動による在庫調整が続く中、SHOEIは確固たる地位を維持しています。主力である高級価格帯(プレミアムヘルメット)市場において、世界シェアの約60%(同社推定)を占めるとされ、そのブランド力は揺るぎないものとなっています。
さらに2025年11月、同社は創業以来のコア技術を活かした「キャリーケース事業」への参入を発表しました。単一事業への依存から脱却し、多角化へ舵を切る同社の、第2創業期とも呼べる局面に注目が集まっています。
第1章:どんな企業なのか(輪郭と事業構造)
── 「Quality & Value」を追求する、安全装備のスペシャリスト
SHOEIは、二輪乗車用ヘルメットの製造・販売を主軸とするメーカーです。「Made in Japan」にこだわり、茨城と岩手の2工場ですべての製品を生産しています。
2025年9月期の自己資本比率は85.1%と極めて高い水準にあり、不測の事態にも耐えうる安定性を有しています。この盤石な基盤が、品質への妥協なき投資や、新規事業への挑戦を可能にしています。
第2章:なぜ特別なのか(競争優位の源泉)
SHOEIが選ばれ続ける理由は、「安全」に対する姿勢と、それを支える技術力にあります。 各国の安全規格(JIS、ECE、SNELLなど)をクリアすることはもちろん、社内基準としてさらに厳しいテストを課しています。年間約3,000個もの製品を抜き取り、実際に破壊検査を行うなど、徹底した品質管理体制が「SHOEIなら安心」という信頼を醸成しています。
深掘り:顧客との「対話」が生む付加価値
「良いものを作る」だけでなく、「正しく使ってもらう」ことにも注力しています。
- SHOEI Gallery:直営店を国内外(国内6店舗、海外2店舗)に展開し、ブランドの世界観を発信。
- P.F.S.(パーソナルフィッティングシステム):頭部の形状を計測し、一人ひとりに最適な内装に調整するサービスを提供。
- 情報収集:ユーザーとの直接的な接点から得た声を、次の製品開発へ迅速にフィードバック。
この「製造」と「サービス」の融合が、他社には真似しにくい高い参入障壁となっています。
- ✅ 世界トップシェア(プレミアム市場)によるブランド認知
- ✅ 開発・生産・品質管理の一貫体制(Made in Japan)
- ✅ 独自のフィッティングサービスによる顧客体験の差別化
第3章:課題と向き合い方(市場の変化と対応)
コロナ禍の特需が落ち着き、市場は調整局面にあります。特に欧州市場での販売減少などが影響し、2025年9月期は減収減益となりました。また、ライダーの高齢化や趣味の多様化といった中長期的な課題も存在します。
投資家が視るべき「次の一手」
こうした環境下で、同社は「ヘルメット一本足打法」からの脱却を図っています。2025年11月に発表された「キャリーケース事業」への参入はその象徴です。ヘルメット製造で培った「シェル(外殻)成形技術」や「内装技術」を応用し、「生命を守る」から「大切な財産を守る」へと領域を拡大。高付加価値・高単価な製品として、2026年1月頃の事業開始を予定しています。
第4章:未来像(新たな体験価値の創造)
SHOEIが目指すのは、単なる「防具」の提供にとどまりません。「快適で楽しいモビリティ生活」そのものを創造しようとしています。
例えば、ヘッドアップディスプレイ(HUD)を内蔵した次世代ヘルメット「OPTICSON」の開発や、スマートフォンと連携するHUDデバイスの共同開発など、デジタル技術との融合を推進しています。また、2026年春にはミュージアムやカフェを併設した「SHOEI HELMET PARK」をオープン予定。ブランドの歴史と未来を体感できる拠点を整備し、ファンとのエンゲージメントを深めていく方針です。
まとめ:この企業を一言で言うなら
安全という「絶対的な価値」を基盤に、
領域を広げ進化を続ける、グローバル・ニッチトップ企業。
流行に左右されず本質を追求する姿勢が、
時代を超えて支持される「代替されにくい」理由と言えるでしょう。
企業価値を「構造」から考える
どこに組み込まれ、何によって支えられているか という構造が、 長期的な価値を左右します。
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