ナカニシ(7716)|歯科から外科へ拡張する精密医療機器メーカー

【企業図鑑】NAKANISHI INC.
「削るテクノロジー」で世界の医療現場を支える。
90%の内製化率が生む、再現性の高い信頼と精度

この企業に注目する理由

── 創業100周年に向け、歯科から「外科」へ領域を広げる精密技術企業

ナカニシは、歯科用ハンドピース(歯を削るドリル)で世界的に高いシェアを持つグローバルニッチ企業です。 新中期経営計画「NV2030」では、安定した歯科事業に加え、成長が見込まれる「外科事業」を次の柱として育成する方針を示しています。

特徴的なのは、部品の約90%を内製化する垂直統合モデルです。 これにより実現する品質の一貫性と供給の安定性は、医療現場において評価されやすい構造的な競争優位となっています。

第1章:企業像(輪郭と事業基盤)

── 売上の約9割が海外。世界140カ国で採用されるブランド

1930年の創業以来、「削るテクノロジー」を磨き続けてきたナカニシ。 現在、売上の約90%は海外市場が占めており、北米・欧州を中心にグローバルに展開しています。 近年はM&Aを通じて米国のデンタルチェアメーカー「DCI」などをグループ化し、 単体機器にとどまらず、治療環境全体を支えるソリューション提供へと事業領域を拡張しています。

第2章:競争優位の源泉(垂直統合とスイッチングコスト)

ナカニシが医療現場で継続的に選ばれてきた背景には、 徹底した内製化による品質管理と、医師の手技に自然に馴染む操作性があります。

深掘り:なぜ「垂直統合」が競争力につながるのか

ナカニシは、製品を構成する精密部品の約90%を栃木県鹿沼市の本社工場で一貫生産しています。

  • 品質管理の一貫性:ミクロン単位の精度が求められる高速回転機器において、自社で工程を管理することで、安定した品質を維持しています。
  • 医師の身体感覚への適合:重量バランスや回転の感触は、医師の判断精度に直結します。長期間使い続けた製品からの切り替えには心理的・実務的なコストが生じます。
  • 供給体制の安定:新工場の稼働により、部品加工から組立までを自社で完結できる体制が整いつつあります。
【強みとリスク(構造的視点)】
構造的強み
  • 高速回転・超音波などのコア技術の蓄積。
  • グローバル展開によるスケールメリット。
  • DCI社との協業による北米市場での提案力。
長期的なリスク
  • 関税・貿易政策の変動。
  • 新興国市場での価格競争。
  • 海外買収企業との統合プロセス。

第3章:資本政策と成長戦略(NV2030)

新中期経営計画「NV2030」では、成長投資と株主還元のバランスを重視した方針が示されています。

外科事業への展開

歯科に加え、外科領域への展開を進めることで、事業ポートフォリオの幅を広げています。

株主還元方針の明確化

総還元性向70%を目安とし、累進配当を導入することで、安定的な還元姿勢を示しています。

第4章:未来像(100周年とその先)

創業100周年に向け、ナカニシは国際的に評価される医療機器メーカーとしての地位をさらに固めようとしています。

高齢化の進展により、低侵襲治療への需要は今後も拡大が見込まれます。 同社の精密加工技術は、医療の質を支える基盤として長期的な役割を担っていくでしょう。

まとめ:この企業を一言で言うなら

ナカニシは、「ミクロン単位の精度で、世界の医療の質を底上げする職人集団」です。
圧倒的な内製化技術と外科領域への挑戦が、次の100年の成長を削り出します。

企業価値を「構造」から考える

企業の強さは、売上や成長率だけで決まるものではありません。
どこに組み込まれ、何によって支えられているか という構造が、 長期的な価値を左右します。
▶ 日本株 企業構造図鑑
ビジネスモデル・制度・ノウハウなど、 企業の土台となる構造から読み解く企業分析をまとめています。