「もったいない」が判断を狂わせる──投資家も恋愛も惑わす「サンクコスト効果」の罠

続ける勇気より、やめる決断を。 “感情”ではなく“合理”で動くための思考リセット法

つまらない映画を、途中でやめられない。 ほとんど使っていないサブスクを、なぜか解約できない。
「ここまでお金を払ったのに」 「もう少し続ければ、何か得られるかもしれない」
本当は引き際だと分かっているのに、 私たちは“やめる決断”ができなくなります。
その正体が、サンクコスト効果(Sunk Cost Effect)です。
本記事では、 この「もったいない」という感情がどのように判断を歪めるのか、 そして感情ではなく合理で動くための思考リセット法を整理します。

サンクコスト効果とは何か

サンクコスト効果とは、 すでに支払ってしまい、取り戻すことのできない費用(お金・時間・労力)を惜しむあまり、合理的でない選択を続けてしまう心理現象です。
日本語では「埋没費用効果」とも呼ばれます。

💡 有名な例:コンコルド効果
有名な例が、超音速旅客機コンコルドの開発です。 巨額の損失が明らかになっても、「ここまで投資したのだから」と中止できなかったことから、 「コンコルド効果」とも呼ばれています。

重要なのは、ここです。
サンクコストは、未来の判断には一切関係ない。
それでも私たちは、 「もったいない」という感情に引きずられ、 過去に縛られた選択をしてしまいます。

なぜ人はサンクコストの罠にはまるのか

このバイアスには、複数の心理メカニズムが絡み合っています。

① 損失回避の心理
人は、得る喜びよりも、失う苦痛を強く感じます。 「ここまで使ったものを“無駄だった”と認めたくない」 この感情が、さらなる投資を正当化してしまいます。
② 一貫性を保ちたい欲求
自分の過去の判断が間違いだったと認めることは、 想像以上にストレスです。 「一度始めたのだから最後まで」 という思い込みが、冷静な撤退判断を妨げます。
③ 自己正当化バイアス
「これだけ時間やお金をかけたのだから、きっと価値があるはず」 こうして私たちは、 現実よりも“納得できる物語”を優先してしまいます。

日常にあふれるサンクコスト効果

サンクコスト効果は、投資だけの話ではありません。

💘 恋愛関係 🎬 映画・本 🕹️ クレーンゲーム 💳 サブスク 📈 投資・仕事
  • 恋愛関係:長く付き合ったという理由だけで、将来性のない関係を続けてしまう
  • 映画・本:「お金を払ったから」と、つまらないと感じてもやめられない
  • クレーンゲーム:「ここまで使ったのだから」と、さらに投入してしまう
  • サブスクリプション:ほとんど使っていないのに解約できない
  • 投資・仕事:赤字や疲弊が続いても「今さら引けない」と撤退できない

これらに共通するのは、 「未来」ではなく「過去」を基準に判断している点です。

サンクコスト効果から抜け出す5つの思考リセット法

① 「これはサンクコストだ」と名前をつける
「もったいない」という感情が湧いたら、 まずラベリングしましょう。 「今、自分はサンクコストに引っ張られているかもしれない」 自覚するだけで、感情と距離が生まれます。
② ゼロベースで問い直す
「もし今日、すべてがゼロの状態だったら、これを新しく始めるだろうか?」 答えが「No」なら、 続けている理由は過去への執着かもしれません。
③ “引き際ルール”を先に決める
・〇円まで投資して成果が出なければ撤退 / ・〇ヶ月続けて改善がなければやめる
感情が入る前にルールを作ることが、最も効果的です。
④ 客観的な第三者に委ねる
当事者は、どうしても視野が狭くなります。 「もしあなたが私の立場だったら?」 この一言が、判断を一気に冷静にします。
⑤ 機会費用に目を向ける
何かを続けることで、 失っている別の可能性は何でしょうか。 過去の損失ではなく、 未来に得られる価値に視点を移すことが重要です。

結論:最高の決断は、常に未来志向である

サンクコスト効果は、誰にでも起こります。
しかし、 「過去は判断基準にしない」 この原則を知っているだけで、選択は大きく変わります。

これまで費やした時間やお金は、 無駄ではありません。 それは授業料として支払われた過去の情報です。
今この瞬間に「やめる」と決断することは、 敗北ではなく、未来への投資です。
あなたの時間とエネルギーを、 これから価値を生む場所へ使っていきましょう。

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