モメンタム投資とは何か
― 株価の「勢い」が生まれる構造
株式市場では、しばしば「上がっている株は、しばらく上がり続ける」「下がっている株は、さらに下がりやすい」という現象が観測されます。
この価格の持続的な動きを捉えようとする考え方がモメンタム(Momentum)です。
本記事では、売買手法の解説ではなく、なぜモメンタムが市場で繰り返し発生するのかという構造的な背景を整理します。
モメンタム投資とは
モメンタム投資とは、過去に好調だった資産は、短中期的に好調が続きやすいという市場の性質を前提にした考え方です。
これは「割安か割高か」を問う投資とは異なり、価格そのものの動きに着目します。
モメンタムの核心
- 価格はランダムではなく、一定期間「慣性」を持つ
- 市場参加者の行動が、その慣性を強める
なぜモメンタムは生まれるのか
モメンタムは偶然ではなく、市場の構造そのものから生まれます。
① 投資家行動による要因
- 好調な銘柄が注目され、資金が集まりやすい
- 含み益のある投資家は売却を先延ばししやすい
- 出遅れた投資家が後追いで参入する
② 制度・運用ルールの影響
- 指数連動ファンドによる機械的な買い
- トレンドフォロー型の運用戦略
- パフォーマンス評価による資金流入
③ 情報の段階的反映
企業の変化や成長は、一度に完全には評価されません。情報が段階的に解釈され、価格に反映されることで、トレンドが形成される場合があります。
モメンタムとファンダメンタルの関係
モメンタム投資は、ファンダメンタル分析と対立する概念ではありません。
- ファンダメンタル:
「なぜその企業が価値を持つのか」 - モメンタム:
「その評価が、どの速度で市場に浸透しているか」
長期的な価値創造と、短中期の価格変動は、異なる時間軸を持っています。モメンタムは、価値が“認識される過程”を映す現象と捉えることができます。
モメンタムの限界とリスク
モメンタムは万能ではありません。
- トレンド転換時の下落が急激になりやすい
- 過熱局面ではリスクが一方向に集中する
- 外部ショックに弱い
特に重要なのは、モメンタムは「続く理由」ではなく「結果」であるという点です。理由なき勢いは、理由が生じた瞬間に崩れます。
長期投資家にとっての位置づけ
長期投資において、モメンタムは使うべき戦略というより、理解すべき現象です。
- なぜ割高に見える株が上がり続けるのか
- なぜ良い企業でも下落が止まらないことがあるのか
- 市場の評価がどの段階にあるのか
こうした疑問を読み解くための補助線として有効です。
まとめ 📌
- モメンタムは市場に内在する構造的な力学
- 投資家行動・制度・情報反映の遅れが背景にある
- ファンダメンタルと対立する概念ではない
- 予測や売買技術ではなく、市場理解のための視点
モメンタムを理解することは、
「なぜ市場は理屈通りに動かないのか」を理解することでもあります。
