中央銀行と株式市場の力学を、指標と歴史から整理する
株式市場を動かす最大の要因のひとつが「流動性」です。
これは単なるお金の量ではなく、中央銀行の政策によって市場に供給・吸収される“お金の流れやすさ”を意味します。
本記事では、流動性の基本構造を整理した上で、
M2マネーサプライ/FRBのバランスシート/FF金利/Fed Fund Futuresを軸に、
株式市場との関係を体系的に解説します。
流動性とは何か:市場を動かす見えない力
流動性の基本概念
流動性とは「お金がどれだけ経済や金融市場をスムーズに循環しているか」を示す概念です。 流動性の状態によって、市場参加者のリスク選好は大きく変化します。
● 流動性が潤沢な局面
- リスク資産(株式・不動産)に資金が向かいやすい
- 資産価格に上昇圧力がかかる
- 投資家のリスク許容度が高まる
● 流動性が不足する局面
- 資金が安全資産へ退避
- 株価の下落圧力が強まる
- バリュエーション調整が起きやすい
流動性を測る4つの主要指標
- M2マネーサプライ
- 中央銀行のバランスシート
- 政策金利(FF金利)
- Fed Fund Futures(金利先物)
M2マネーサプライ:経済の「血液量」を測る
M2は、世の中に存在する現金+預金の総量を表します。 中央銀行の金融政策が最終的にどれだけ経済へ波及しているかを測る、 最も直接的な流動性指標です。
M2と株価の歴史的関係
過去のデータを見ると、M2の伸び率は株式市場のPER(バリュエーション)と高い相関を示してきました。 特に、M2が減少局面に入った際には、株価調整が発生しやすい傾向があります。
1920年代・1930年代の大恐慌期や、近年の流動性収縮局面でも、 M2の急減は株価下落の前兆として機能してきました。
FRBのバランスシート:量的政策の中枢
FRBのバランスシートは、FRBが保有する国債・MBSの総額を示します。 これは流動性を直接的に操作する、最も強力な政策ツールです。
QEとQTが株価に与える影響
- QE(量的緩和)
流動性供給 → 金利低下 → リスク資産上昇 - QT(量的引き締め)
流動性吸収 → 金利上昇圧力 → 株価調整
重要なのは、株価は「現在のバランスシート」ではなく、その増減方向に反応する点です。
FF金利:資金調達コストの基準点
FF金利は、銀行間の超短期資金取引の基準金利であり、 経済全体の資金調達コストの起点となります。
FF金利の引き上げは、企業・個人の行動を通じて、 時間差を伴いながら株価へ影響を与えます。
Fed Fund Futures:市場の金利予想を読む
Fed Fund Futuresは、市場参加者が織り込む将来の政策金利予想を数値化したものです。
特にFOMC前後では、市場予想と実際の決定との差が 株式市場のボラティリティを高める要因となります。
まとめ:流動性は「相場の地盤」
- M2:市場に存在するお金の総量
- バランスシート:流動性を直接操作する装置
- FF金利:資金コストの基準
- Fed Fund Futures:市場の先読み
企業分析やチャート分析の前提として、 「今、流動性は拡大しているのか、縮小しているのか」を把握することで、 投資判断の精度は大きく向上します。
流動性は短期売買の道具ではなく、ポートフォリオ全体のリスク管理指標として 活用するのが本質です。
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